最初に言います。
「VALUは投資」だと考えるとおかしくなります。
VALUは発行も購入も経験、独自トークンの売買もしていて、クラウドファンディングで資金調達をしたこともあり、YouTubeの投げ銭システムも活用してきた僕の結論は「VALUは寄付/投げ銭とクラウドファンディングの間」というもの。
この切り口から解説していきますので、VALUの開設方法や操作説明、社会的に正しいものかどうか…みたいなことを書くつもりはありません。
目次
VALUの売買の流れ
VALUとはこんなもの。
VALUは、夢や目標をどう実現していいかわからない方、金銭的な理由で実現できない方などが、継続的に支援者を募れる場所をつくりたいという思いで開発しました。発行主の情報、タイムライン、優待情報などをご確認いただき、皆様の「応援したいVALU」が見つかると幸いです。
— VALU (@VALU_PR) 2017年6月6日
あなたが僕のVALUを売買する時は、こんなことが起きます。
- VALU(https://valu.is/)にアクセス、会員登録する。
- 僕が「1000円(実際はビットコイン)でVALUを1つ売ります」と発行する。
- あなたがビットコインを払って、僕からVALUを買う。
- たかっかVALUが手に入る。
- 他に「たかっかVALUが欲しい」という人がいたら、その人に売ることができる。
※ビットコインは自分のVALUを売ることで得るか、取引所で日本円をビットコインに両替する必要があります。
今のところ、最もお手軽なビットコイン取引所はCoincheck(コインチェック)です。
基本的にはこれだけなんですが、このVALUというものが株に似ている面があるので投資と捉えられたり、「クラウドファンディングと何が違うの?」という疑問が出てきたりします。
というわけで、まずは似たような性格を持つクラウドファンディングやトークンとの違いを説明します。
そして、後半で「VALUは投資なのか寄付なのか」ということに関して、僕なりの考えを書いてみます。
VALUとクラウドファンディングの違い
「頑張る個人を応援する」といえば、この数年で定着してきたクラウドファンディングが思い付きます。
VALUとの大きな違いは2つ。
- 資金の利用目的とリターンが明確
- クラウドファンディングは一度支援したらおしまい、VALUは手元に残る
資金の利用目的・得られるリターンが明確
クラウドファンディングの場合、「レストランを開きたいから、開業資金の足しとして100万円欲しいです」みたいな目標があって、リターンとして「3000円支援すると食事無料券」、「10万円支援すると貸切イベント開催権」みたいなものが用意されます。
その点、VALUだと優待が接待されていればそれを得られますが、優待無しの人も多いです。
なので、「払ったお金が何に使われるのか分からない」ということになります。
クラファンは支援して、リターンを受け取ったらそこでおしまい
クラウドファンディングの場合、たとえば3000円コースにお金を出すとリターンが手に入ってそこでおしまいです。(目標金額に到達せず、不成立になった場合は別)
一方、VALUの場合は3000円分のVALUを買って、それを元手に発行者がレストランを開業しても、あなたの手元にはまだVALUが残ります。
優待が設定されていれば引き続き受けられますし、誰かに転売することもできます。
VALUとトークンの違い→考え方は一緒
仮想通貨に詳しい人は、「トークンと何が違うの?」と感じた人もいるでしょう。
その答えは、「考え方としてはほぼ同じで、VALUの方がシンプルで分かりやすい」となります。
トークンというのは、誰でも作れるオリジナルの仮想通貨。
まぁ「誰かが発行しているVALUと同じようなもの」と考えれば、それほどズレてはいません(技術的にはブロックチェーンを使ってセキュリティが高いとかいう違いはあります)。
VALUでは、VALUのサイトがあり、そこにビットコインを送って、ビットコインを使ってVALUを売買します。
一方のトークンはこんな流れです。
- IndieSquare(https://wallet.indiesquare.me/)というアプリを使う
- 別の取引所で入手したビットコインかXCP(Counterparty Token)という仮想通貨を送金
- XCPを使って他のトークンを売買
VALUだと単位が「VA」に統一されていますが、トークンだと参加者は誰でも独自の通貨を発行できます。
たとえば僕は「たかっカード(TAKAKKARD)」という通貨を実際に発行してますし、タクミさんが「ハチロクコイン」、ケイスケさんが「FDカード」など自由に発行できます。
そして、それぞれの通貨同士でも交換できるので、「1XCP=1たかっカード」という交換はもちろん、「1たかっカード=2ハチロクコイン」や、「1ハチロクコイン=1.5FDカード」みたいな市場も形成されます。
IndieSquareはただの両替所みたいなものなので、VALUと違って優待やSNS的な機能は一切ありません。
なので、こういう複雑で味気ないトークンの世界を、シンプルに分かりやすく。コミュニケーションも生まれるようにしたものがVALUだと言えます。
VALU最大の問題点
VALUは上に書いたような形で取引されるんですが、ポイントは「VALUを買う目的」です。
これを投資と考えると「怪しい!詐欺だ!」となりますし、寄付だと考えれば割とすんなり納得できます。
「VALUは投資」と考えると、詐欺とかネズミ講に思えてくる
投資と考えると、「今お金を出せば、後で得する」という仕組みが必要です。
投資においては、「インカムゲイン」と「キャピタルゲイン」という主に2種類の「得の仕方」があります。
- 株のインカムゲイン
株を持っている人に、「配当金」としてお金が支払われる。 - 株のキャピタルゲイン
株価が上がること。
事業で儲かったり、会社が成長することで会社の価値が上がると、株価が上がる。
このための判断材料として、事業計画や決算報告書など、多くの裏付けとなる資料が提供される。
では、VALUだとどうかというと…。
- VALUのインカムゲイン
無し!
人によっては、VALU保有者に対して「一緒にお茶する権利」とか「Skypeで話す権利」といった「優待」を設定する人もいますが、僕の場合は無しです。 - VALUのキャピタルゲイン
VALUの価格が上がること…なんですが、基準が不明。
SNSやYouTubeのフォロワーが増えることで、僕の価値が上がったことになる?
フォロワーが増えたとして、VALUの価格も上がる?
→この判断基準がまったく無い。
- はじめしゃちょーと僕を比べたときに、その価値の違いは何で決まる?
- 事業計画もなければ、活動レポートも何もない。
- 再生数やフォロワー数は分かるけど、年収や経費は分からない。
このように、株と比べるとインカムゲインは無いし、キャピタルゲインで儲かるかどうかは全然読めません。
このように、VALUの価値は「YouTuber始めて1年で登録者1万人超えて、毎週面白い動画作ってるから、これからも頑張ってくれるだろう」というぐらいの期待感でしかないんです。
VALUにはインサイダー取引などの不正を防ぐ仕組みがない
さらに、証券取引で言うところのインサイダー取引のような不正を処罰するルールはありません。
また、VALUの発行者がVALUから退会(≒夜逃げ)したら、もうそのVALUの価値はゼロ。そんな時も、規約上は買った人の自己責任になってしまいます。
だから、VALUは「投資としてあまりに危険」と判断する人も出てくるわけです。
VALUを投資ではなく、「ちょっとお得な寄付」と考える
でも、VALUを「寄付」と考えるとどうでしょう?
- 大好きなバンドにプレゼントを贈る
- 応援したい活動に投げ銭をする
- 恵まれない子供のために寄付をする
こういう時に、「いま寄付しておけば、あとで恩返ししてもらえる」とか考えませんよね。
ただ、「このお金で今後も頑張ってくれれば嬉しいな」という感覚のはず。
「アフリカの子供にワクチンを届けるための募金にお金を出したのに、全然違う用途に使われていた」なんていうことにでもならない限り、文句を言うようなものではないでしょう。
とはいえ、なかなか何の見返りもないのに募金箱にお金を入れる人がいないのもまた事実。
だから、「誰かに売ることができるし、値上がりするかもしれないVALUが手に入る」というお得感をプラスすることで、「頑張る個人を応援する」という動きを起こすために開発されたんじゃないでしょうか。
VALUが寄付なら、「時価総額」として価値がつくのはおかしくない?
ベータ版の初期に存在していた「時価総額ランキング」の上位には、堀江貴文さん・イケダハヤトさん・はあちゅうさん…といった大物インフルエンサーの名前が並んでいて、あたかもその人達に価値があるかのように見せていました。
ただ、これも寄付だと捉えると「多くの寄付を集めている人ランキング」であり、言い換えれば「多くの人が寄付したくなる相手」ランキングです。
もちろん彼らは有名・発信力がある・文章もうまい…というのはあります。
ですが、募金や投げ銭にしたって、路上パフォーマンスをするのと、レジの横に募金箱を置いておくのでは金額には相当の差があるはずですし、路上パフォーマンスにしたって3年やってる人と今日始めた人だったら、当然長くやってる人の方にファンが付いているでしょうから、もらえる金額も多いでしょう。
有名ブロガーにしても、最初は誰にも読まれなかったようなブログを書き続け、その中で人の役に立った記事が評価されて人気が出始めて、やがて有名にななって発信力が付いた結果ですから、より多くの寄付を集められるのは当然のことです。
もちろん、有名人以外にも応援したくなる活動をやっている人はいるので、ランキングに代わって「新着・注目VALU発行者リスト」が導入されたんだと思います。
まとめ:VALU投資対象ではなく、応援ツールとして進化している
ベータ版のサービス開始から約2週間で、このような仕様変更が行われました。
- 24時間以内の取引回数を5回に制限
- 売買単価を「前日終値(初回売り出し時)の75%〜150%」に制限
- 「投機目的の取引ではない」という確認画面の追加
- 「時価総額ランキング」の廃止、新着・注目VALU発行者リストに変更
このように、運営会社としてもVALUが投資対象と捉えられないように改良を進めてきました。
なので、やはりVALUは優待があればクラウドファンディングの一種、なければ寄付の一種と考えることが自然だと言えます。
僕もVALUを発行していますので、よかったら見てみてください。