ジョージアに引越荷物を送ったり、海外では手に入らないものを送る時に避けては通れない、日本からジョージアへの海外発送。
国内に宅急便を送るのとはわけが違うので、余裕を持って準備して、慎重に進めましょう。
ちょっとした勘違いで、荷物の没収・配達の遅延・多額の関税や消費税の課税などされてしまうことがありますから、十分に注意してください。
また、必要書類には内容品の種類や重さを細かく書く必要があるので、荷造りするときにはどの箱に何を入れたのか、それぞれの価格と重量をメモしておきましょう。
僕はジョージア移住にあたり、ダンボール4箱分の荷物を2回に分けて国際小包で送り、全て無事に受け取ることができました。
(ちなみに、トータルで送料77050円+税金83489円払いました…)
今回は、その発送~受け取り~税金の支払までの流れを解説します。
※対応している寸法や重量、規制品などは変わることがあるので、郵便局・税関・運送会社のサイト等で最新の情報を確認してください。
発送方法&金額
多くの日本人が引っ越すアメリカ・西ヨーロッパ・東南アジアなどと違い、ジョージアへの海外発送に対応している業者は多くありません。
個人の荷物に対応しているのは大きく分けて2つだけです。
なお、この記事では特に記載が無い場合、「東京からトビリシに、10kgのダンボールを1箱送る」という条件で説明します。
郵便局(国際小包)
結論からいうと、国際宅配便は高すぎるので、ほとんどの人にとっては郵便局の国際小包が唯一の選択肢になるはずです。
※より配達が速いEMSは、ジョージアには非対応。
料金&配達日数
速い順(=高い順)に3つの発送方法があります。
- 航空便:17,650円、約1~2週間
- SAL便:12,550円、約3~4週間
- 船便:6,750円、約2ヶ月~
僕自身はSAL便を使用し、日本での発送から約3週間で最寄りの郵便局に届きました。
SAL便とは
SAL便は「ほぼ航空便」なのですが、純粋な航空便がとにかく最速で荷物を運んでくれるのに対し、SAL便では飛行機にちょうどいい空きスペースがある便を待って、そこに載せて運ばれてくるものです。
なので、荷物が発地や経由地の空港に着いた後も、空きのある便を待つために1週間ほど保管されることがあります。
大きさ・重さの制限
まず、重さは20kg以内(箱の重さも含む)。
そして大きさは、「長さ1.05m 長さと横周の合計2m」と郵便局のHPには書かれていますが、分かりにくいですよね。
要するに→ 長さ+(高さ+幅)×2=2m以内 で、長さは1.05m以内、ということです。
「国際小包Bサイズ」と呼ばれることもあり、ダンボールを探すときはこれで検索しましょう。
ちなみに丈夫なダンボールは1~2kgあり、荷物だけで20kgあるとオーバーするので気を付けて下さい。
メリット
安い
最大のメリットは安さ。
後述する国際宅配便だと、平気で5万~10万という値段になり、「だったら現地で買うわ!」という話になります。
発送方法が分かりやすい
おなじみの郵便局で手続が進められますし、郵便局のホームページの記載も分かりやすいです。
デメリット
時間がかかる
最速でも1週間はかかり、国際宅配便のような到着日保証もありませんから、「いつまでに絶対必要!」という時には使えません。
その場合は国際宅配便を使うか、飛行機の手荷物として運ぶことを考えましょう。
ジョージアでの受け取りが面倒
国際小包は、もれなく最寄りの郵便局で局留めになります。
大きく重い荷物の場合は、郵便局からどうやって持ち帰るかよく考えておきましょう。
不達・遅延のリスク
荷物がジョージア国内に着いてからは、Georgian Post(ジョージア郵便局)が配送を行いますが、Georgian Postはジョージア人からも評判が悪いです。
僕の荷物は幸運にも無事でしたが、手紙を紛失されたとか、いつまで経っても届かないといった話も直接聞いたことがあるので、そういうリスクもあるものだと思ってください。
国際郵便に詳しくない郵便局員もいる
サービスがしっかりしている日本の郵便局とはいえ、他の郵便サービスと比べたら国際郵便はマイナーなサービスです。
このため、窓口や集荷時に対応してくれる郵便局員の知識がイマイチで、情報が不正確だったり、間違ったことを言われることもあるようです。
そのためにも、ご自身でしっかり調べておきましょう。
FedExやDHL(国際宅配便)
僕自身は使っていないので、詳しくは書けません。大手2社のリンクを貼っておきます。
メリット
早い
自社ネットワークの航空輸送、そして宛先までのドア・ツー・ドア配送なのでとにかく早く、5~7日程度で届きます。受け取りの手間もなし。
安心
国際輸送を専門にしている業者なので、知識が豊富。
また、各国の郵便局を経由したりしませんから、伝票番号から荷物をリアルタイムで追跡でき、万全の保証を付けることもできます。
デメリット
高い
箱の荷物を送ろうとすると軽く5~10万かかるので、個人の引越荷物のようなものにはおすすめしません。
急ぎの書類や、よほど重要な機材でない限りは割に合わないでしょう。
発送方法が分かりにくい
サービス自体はよくできているのですが、各社とも日本語のホームページの出来がイマイチで、スムーズに準備を進めることができません。
営業所もそれほど多くないので、分かりにくいサイトから自力で調べることができない人には難しいです。
発送伝票・必要書類の書き方
ここからは、郵便局の国際小包をSAL便で送る場合について紹介します。
必要な書類は以下の3点です:
- 発送伝票
- 税関告知書CN23(2枚)
- インボイス(2枚)
後述しますが、税関告知書とインボイスは郵便局のHPでテンプレートを入手できるので、こちらから作成することをおすすめします。郵便局に行けば、手書き用の用紙をもらうこともできます。
【重要】内容品の金額と、保険・消費税・関税の関係
細かい書き方はこの後紹介しますが、荷物の中身については、品名・重量・金額を細かく記載することになります。
以下のどちらかに該当すると、一度に送った荷物の合計額×18%がVAT(消費税)として課税されます。
- 一度に送った荷物の総額が300ラリ(約1万円)を超える
- 一度に送った荷物の合計重量が30kgを超える
つまり、8000円相当の荷物が入った箱を2つ、2個口で送る→合計16000円なので課税。
15kgの荷物が入った箱を3つ、3個口で送る→合計45kgなので課税。
これを避けるためには、発送を2~3日ずつズラして(=別の飛行機で届くように)送る必要があります。
※どうやら、発送を分けても同じ便で同じ宛先の荷物が届いた場合は、セットの扱いになるようです。
金額を安く申告した場合
「なら、安く申告すればいいんじゃない?」と思った人もいるでしょう。
その場合に起きることを解説します。
新品の場合:脱税=犯罪→追徴課税
新品の物を実際の金額より低く申告して送ることは脱税であり、明確な犯罪です。
発覚すると、初回は実際の金額の40%、2回目以降は100%が課税されます。
中古品の場合:保険が不十分になるリスク
中古品の場合、価値は自己申告で問題ないとされています(とはいえ、「購入して1年の現行iPadが5000円」とかはダメです)。
ただ、保険付きで送った場合でも、この申告額をベースに保険価額の上限が決まりますから、もし荷物の破損・不達があった場合は補償が受けられません。
なので、高価な物を送る際は、18%の課税を受け入れるか、郵便事故のリスクを取るか判断する必要があります。
また後述しますが、一般的に引越荷物(別送品)の中古品は非課税になるはずなのですが、ジョージアでは認められないようです。
関税について
関税の多くが撤廃されたジョージアではありますが、品目によっては最大12%の関税が別途課税されることがあります。
内容品が20万円を超える場合
一度に発送する荷物の合計額が20万を超える場合、別途通関手続をする必要があります。
ジョージア向けの荷物の場合、1箱あたりの保険の上限額は約15万円なので、通関手続・保険の上限額という2つの理由から、1箱あたり15万円以下、1発送あたり20万円以下になるように送り方を調整することをおすすめします。
書類の書き方
発送伝票
これは宅急便の伝票と似たようなものなので、それほど悩むことはないと思います。
中身の荷物が少数で、伝票の内容品欄に書ききれる場合は、税関告知書CN23を別途添付する必要はありません。
僕はとても収まらないので「See attached document(別紙参照)」としています。
「Personal Use(個人使用)」「Unaccompanied Baggage(別送品)」という記載は、商用ではなく、個人の引越荷物=一般的には非課税品であることをアピールしているのですが、ジョージアでは適用されないようです(後述)。
税関告知書CN23
日付とサインを忘れずに!!
内容品の種類と重さを細かく書く必要があるので、荷造りするときにしっかり重さを量っておきましょう。
インボイス
日付とサインを忘れずに!!
なお、郵便局のホームページによれば、ジョージアへの発送の場合はインボイスは不要とされています。
ただ、一般的には海外に荷物を送る際は必須の書類なので、無用なトラブルを避けるためにも同封することをおすすめします。
サインしたもののコピーを持っておく
税関告知書とインボイスを作ってサインしたら、それぞれ1枚ずつコピーを持っておきましょう。
ジョージアで関税や消費税の計算で揉めたとき、これがあれば交渉がやりやすくなります。
※荷物に添付する2枚は、日本とジョージアの税関で回収されるので手元には届きません。
荷造り
使用するダンボールについて
海外では宅急便の荷物はかなり乱暴に扱われます。
スーパーでタダで配ってるようなダンボールだと輸送中に破れたり底が抜けたりする可能性があるので、お金はかかりますけど海外発送用の丈夫な二重構造のダンボールを購入して、大切な荷物を送る場合はそれを使うようにしましょう。
梱包方法
プチプチ、タオル、衣類などを駆使して、壊れものは過保護なぐらいに守りましょう。
ちなみに、ジョージアには柔らかいティッシュが売っていないので、プチプチの代わりにポケットティッシュを詰め込むと一石二鳥です(笑)
梱包方法については、郵便局のホームページが分かりやすいです。
箱の外側に税関告知書とインボイスを貼付する
荷造りを済ませたら、準備した税関告知書とインボイスを透明のビニール袋(ジップロックみたいなやつ)に入れて、箱の外側に貼付けます。
郵便局に行って、「インボイス用の袋をください」と言えば、専用の袋をもらえます。
モバイルバッテリーや予備バッテリーには要注意!
飛行機への持込と同様、リチウムイオンバッテリーの海外発送には制限があります。
- モバイルバッテリー:荷物1箱あたり、2個まで
- カメラ等に装着されたバッテリー:荷物1箱あたり、2個まで
- 装着されていない予備バッテリー:NG
つまり、1箱にモバイルバッテリー1個+バッテリーを入れた状態のデジカメ1台、ならOKです。
モバイルバッテリー2個+バッテリー入りのカメラ1台、だとNGなので、ご注意を!
これを間違えると、荷物の没収や返送もあり得るので、くれぐれも気を付けて下さい。
なお、リチウムイオンではない、ニッケル水素バッテリー(エネループ等)やアルカリ乾電池などには規制はありません。
詳しくはこちらを確認してください。
禁制品(送ってはいけないもの)
危険物や食品など、一般的に送ってはいけないものや、ジョージアには送ってはいけないものもありますから、事前に確認してください。
缶詰、麺類、肉・魚製品などは禁制品とされています。
国際郵便(郵便局)の送り方
はい、ここまで慎重に荷造りして、頑張って書類を揃えたら、あとは簡単です。
郵便局に持ち込むか、集荷を頼めばOK。
寸法・重量・必要書類の確認がされて、送料を支払っておしまい。
荷物が多いと高額になりますが、カード払いなどはできないので事前に現金を準備しておくことをお忘れなく。
荷物の追跡
郵便局でゆうパックなどを送る時と同様、郵便局のホームページで追跡は可能ですが、タイムリーに表示されるのは日本の空港を出発するところまでです。
その後は、伝票番号をGeorgian PostのShipment Tracking画面に入力すると、それ以降の状況を確認することができます。
最終的には1~2週間遅れて日本の郵便局の追跡状況にも反映されますが、その頃には荷物は届いていることでしょう。
ジョージアでの受け取り方
無事に発送して、自分もジョージア入りして、次は荷物の受け取りです。
前述の通り、局留めなので自分で取りに行く必要があります。
郵便局から到着通知がくる
郵便の配達員がドアをノックしてくるか、玄関の近くにこんなラベルを貼っていきます。
これが到着通知なのですがジョージア語。そして英語の通じない配達員もいます。
結論から言うと、この「315」というのが最寄りの郵便局を指しており(Googleマップに315だけ入力してもヒットします)、このラベルを持って行くことになります。
この時の配達員は英語が通じなかったものの、配達員のスマホで郵便局に電話してくれて、英語が話せる局員に代わってもらって「Post Office 315に行け」ということを伝えてくれました。
課税される場合:Revenue Serviceで納税者登録(初回のみ)
前述の「合計300ラリ以上」または「合計30kg以上」の荷物の場合はVAT(消費税)が課税されます。
その場合、荷物の受け取りには納税者番号が必要で、それを入手するためにはRevenue Service(税務署のような場所)で納税者登録が必要です。
パスポートを持参して最寄りのRevenue Serviceに行き、受付で”I want a number to receive my parcel from Japan”とでも言えば通じると思います。
ダメならこの画像を指差して「I want this!!」でなんとかなるはず(笑)
これを入手できたら、これを持って郵便局に行きます。
一度発行されれば何度でも使えるようなので、大切に保管しておきましょう。
郵便局に行く
以下の3点を持って、指定された郵便局に行きましょう。
- 到着通知のラベル
- パスポート(身分証明書として)
- 納税者番号の紙(課税されている場合)
到着したら整理券を取って、番号が呼ばれるのを待ちます。
郵便局にはある程度英語を話せる局員が何人かはいるようです。
非課税の荷物であれば、そのまま受け取っておしまい。
課税されている場合は通関手数料の20ラリを支払い、納税通知書にサインすると荷物を受け取れます。
納税通知書は税金の支払に必要なので、なくさないようにしましょう。
支払期限は、納税通知書の発行から30日以内です。
税金の支払
郵便局員には「納税通知書を持ってBank of Georgiaに行って支払え」と言われましたが、実際はオンライン支払いも可能です。
ただ、ジョージア語のサイトを翻訳機能を使って読みながら進めることになるので、自信が無い人は銀行に行った方が無難です。
ここではオンライン支払いの手順を紹介します。
- Revenue Serviceのホームページに行く
https://www.rs.ge/
- ジョージア語版サイトを使う
英語版サイトにはオンライン支払いのページがありません。
なので、Google翻訳の機能で英語や日本語にして進めましょう。
分からなければ、「メニューの左から2番目、上から2番目…」とかやるのもアリです。
- 郵便物の税金支払いページへ
- 伝票番号を入力して、虫眼鏡のマーク
- 伝票番号・納税者番号・金額等が表示されるので、確認
※セキュリティ設定によってはブロックされるので、「このまま続行」的な操作をしてください
- 決済方法を選択
クレカの場合は手数料2%でほぼ変わらないので、どれでもOK。僕はEPAY.GEを選びました。
- 個人情報を入力
この部分はGoogle翻訳のサイト自動翻訳機能は動きませんでした。
僕は別途Google翻訳のサイトを開いて、そこにコピペして内容を確認しました。
なお、金額は手動で入力する必要があるので、納税通知書にある金額を入力しましょう。
- (クレカのパスワードやSMS認証等)
- 支払いが成功すると、こんなページになります。
念のため、スクショを取っておきましょう。
引越荷物は課税?非課税?
結論:ジョージアでの正規の滞在許可を持っていない限り、商用ではない、個人の引越荷物でも原則課税
世界的には非課税とされることが一般的な引越荷物(別送品)について、Revenue Serviceのホームページにはこのような記載があります。
これを読むと非課税になりそうなものですが、知り合いのジョージア人弁護士に聞いたところ、彼からもRevenue Serviceに確認を取った上で、「恒久的な滞在かどうかを証明する書類がないと無理」という結論でした。
つまり、入国から1年間のビザ無し滞在資格を使って、事実上は恒久的な滞在は可能なものの、永住権を持っているわけではない。
恒久的な滞在であると主張するためには、少なくとも正規の滞在許可を取得しておく必要がある、ということです。
一般的には別送品がある場合、自分が入国するときに空港の税関で「申告あり」の窓口に行き、別送品のインボイスのコピーに税関の確認印をもらうことで、引越荷物としての証明になるようです。
ただ、ジョージアの場合は上記の通りの考え方なので、これはやるだけムダかもしれません。
まとめ
かなりの長文記事になってしまいましたが、流れ自体はシンプルです。
- (VAT課税の仕組みを知る)
- 運送業者・発送方法を選ぶ(郵便局の国際小包SAL便の一択)
- 梱包&書類の準備(ジョージアに限らず、海外発送のお約束)
- 納税者番号の発行(課税される場合)
- 郵便局での受け取り
- 税金の支払
一度やればどうってことないので、荷物を送る必要がある方は、これを参考にやってみてください。
コメント
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